英日特許翻訳の「なるべくお金をかけない」勉強法

こんにちは。

今日は、英日特許翻訳者になるための勉強法について書きます。

なお、前回の記事では「特許翻訳業界の現状」について書いていますので、まだお読みでない方は、そちらの記事を先にお読みください。

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有料の特許翻訳講座を受ける前に!

巷には特許翻訳講座がいくつもあります。

それらを受講する前に、まずは「無料で何とかならないか?」「市販の参考書だけで何とかならないか?」を考えてみましょう。

特許翻訳講座なんて、何万円も、何十万円もしますけれど、あまり意味はありません。

自分の書いた翻訳文を添削してもらいたい、という場合のみ、受講すれば十分です。

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技術翻訳の基本を学びましょう

特許翻訳の技術を学ぶ前に、翻訳の技術を学びましょう。

ちょっと遠回りに思えるかもしれませんが、翻訳の基本技術が身についていなければ、どんな文書もまともに訳せません。

以下で、無料の学習サイトや、実際に私が使用した書籍を紹介します。

翻訳の泉

サンフレア・アカデミーという有名な翻訳スクールの学長による、無料の翻訳学習サイトです。

文法項目別に全30回。

無料だからといって、中途半端な内容ではありません。

そこらに売っている参考書よりも充実しています。

この『翻訳の泉』だけでも、英日技術翻訳の基本は十分学習できます。

ただし、一つだけ難点があります。

それは、例文の中に文芸作品からの英文が多数含まれていること。

それも、著作権の切れた古典文学からの例文なので、「そもそもこんな表現、今は使わないよ」というものも含まれています。

ですが、無料でこれだけ学習できるのですから、大変ありがたいサイトです。

ぜひ一度、ざっとで良いので目を通してみてください。

>>『翻訳の泉』はこちらです

なお、「できれば技術英文だけで学習したい」という方は、同じ著者による以下の本がお勧めです。

翻訳の布石と定石

上で紹介した『翻訳の泉』の著者による、技術翻訳の基本を学べる学習書です。

『翻訳の泉』と違い、こちらはすべての例文が技術英文です。

また、『翻訳の泉』は文法項目別でしたが、こちらは文のタイプ(構文)別に分けられています。

『翻訳の泉』と『布石と定石』、どちらか迷われているのなら、『布石と定石』をお勧めします。

というのも、『布石と定石』の方がより実践的で、やり終えたときに到達できるレベルは『翻訳の泉』より上です。

両方やり通すのが一番良いのですが、どちらかだけ、というのでしたら、『布石と定石』を主教材にして、必要に応じて『翻訳の泉』を参考にすることをお勧めします。

特許明細書の翻訳方法を学ぼう!

技術翻訳の基本を身に着けたら、続いて特許明細書の翻訳方法を学びましょう。

無料で学習できるサイトが有ればよいのですが、残念ながら、無料で公開されているサイトはどれも要点ばかりで、全く知識がない人が一人で学習するのには向いていません。

そこで、市販の参考書を使いましょう。

特許翻訳の基礎と応用 高品質の英文明細書にするために

この『特許翻訳の基礎と応用』という本は、実際に特許明細書の英文と日本語訳を参照しながら、特許明細書独特の書き方を学べるようになっています。

「特許明細書なんて読んだことない」という方でも大丈夫。

基本からキチンと解説してくれています。

ただし、この本には難点があります。

肝心の日本語訳が少々拙いのです。

「翻訳の学習書として、それはどうなの?」と思うところもありますが、日本語訳以外の解説は大変素晴らしい内容です。

この本では、日本語訳は参考程度に見て、特許明細書の独特の書き方や気をつけなければいけない点などを学習しましょう。

下手なスクールに通うよりも、多くのことを学べますよ。

いざ、トライアル! でも、その前に……

翻訳の基本技術も特許明細書の書き方も身に付いた。

いざ、トライアルを受けましょう!

でも、その前に、トライアルの注意点を学んでおきましょう。

ここで読んでおきたい本が、トライアル現場主義!―売れる翻訳者へのショートカットです。

この本では、実際にトライアルの採点をしている著者が、どのような基準で採点をしているのかを例を交えて説明してくれます。

また、トライアルに関するQ&Aやコラムなども載っていて、特に、初めてトライアルを受ける場合は参考になることが盛り沢山です。

トライアルは落ちるもの

トライアル、一発合格できれば良いですが、なかなか上手くはいきませんよね。

私も、はじめは落ちました。

業界で最も翻訳レートが低いといわれている会社にも落ちたときには、自分には才能がなさすぎるのではないかと、本気で落ち込みました。

それでも、何件かトライアルを受けるうちに合格して、今は少なくとも1ヶ月先くらいまでのスケジュールは常に埋まっている状態です。

トライアルは、数打てば当たる、というものでもありませんが、「何が悪かったのか」「何が良かったのか」を考えて次に反映させていけば、そのうち受かるようになります。

また、翻訳会社との相性もありますので、同じ会社にこだわらずに複数の会社のトライアルを受けることをお勧めします。

自分の実力を試してみたい!

「トライアルを受ける前に、自分の実力を試してみたい」

「トライアルに落ちた! 私の実力って、どのくらいのものなんだろう?」

そんな疑問を持った方にお勧めの翻訳試験があります。

サンフレア・アカデミーという大手翻訳スクールが開催しているTQEという翻訳試験は、全ての受験者に個別のコメントを返してくれます。

さすがに詳細な添削はしてもらえませんが、コメントだけでも参考になります。

合格・不合格は関係なく、自分の翻訳文の品質を評価してもらうために受験してみることをお勧めします。

 
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