【TED】貧困とは「人格の欠如」ではなく「金銭の欠如」である

ルトガー・ブレグマン

こんにちは。

今日は、TEDから、貧困・格差対策に関する非常に興味深いスピーチの動画をお借りしてきました。

貧しい人々が貧困から抜け出せないのは、その人が持って生まれた性格のせいなのでしょうか?

貧困から抜け出すための真に意味のある対策とはどのようなものなのでしょうか?

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スピーカーについて

今回、TEDの壇上に上がったのは、ルトガー・ブレグマン氏。

ベーシックインカムの導入や1日3時間労働、国境線の開放などを唱え、日本でも話題となりました。

世界的ベストセラー『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』の著者。

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貧困は「人格の欠如」なのか?

かつて、サッチャー元イギリス首相は言いました。

「貧困は性格上の欠陥(a personality defect)だ」

ブレグマン氏も、以前は同じ考えだったそうです。

「本人に何か おかしいところがあるのだ(there’s something wrong with them.)」 

「変えてやることさえできれば(If we could just change them)」 

「生き方を教えてさえやれたら( if we could just teach them how to live their lives )」

 「本人に聞く耳さえあれば(if they would only listen)」

でもそれは、全て間違いだったと気が付きました。

インドで行われた実験

インドのサトウキビ農家を対象に、ある実験が行われました。

サトウキビ農家では、一年の収入の60%を、一度に回収する(these farmers collect about 60 percent of their annual income all at once)そうです。

つまり、一年のうちに、比較的貧乏である時期(収穫直前)と、比較的裕福である時期(収穫後、収入が入ってきた頃)とがあるのです。

サトウキビ農家の人々に、収穫前と収穫後の二回、知能テストを受けてもらったところ、興味深い結果がでました。

なんと、「収穫前の成績は収穫後よりも ずっと低かったのです(The farmers scored much worse on the test before the harvest.)」

どれだけ悪かったのか。

「一晩徹夜した後の状態や アルコール依存に匹敵する(that’s comparable to losing a night’s sleep or the effects of alcoholism.)」というのです。

貧困とは「人格の欠如」ではない

サトウキビ農家を対象とした実験・研究を行ったチームの一人、エルダー・シャフィア氏は、こう語ります。

「貧困とは 「欠乏の心理(scarcity mentality)」なのです」

人間は、何かが不足していると認識したとき、行動が変わってしまうのだそうです。

きっと、誰もが一度は経験したことがあると思いますが、一度に多くのことを抱え込んでしまうと、普段では考えられないミスを犯してしまったり、「なぜこんな選択をしてしまったのだろう」と後々後悔するような選択をしてしまったり。

貧困に陥っている人々は、これと同じ状態にあるのです。

考える事が多すぎる。多すぎるがために、正常な判断ができなくなる。正常な判断ができないから、まるで自らを更なる貧困へと貶めるような行動をしてしまう。

根本的な対策とは

現在、世界中で行われている貧困対策は、残念ながら功を奏しておりません。

シャフィア氏によれば、現在の貧困対策は「誰かに水泳を教えようとして 最初から荒海に放り込むようなものだ(It’s like teaching someone to swim and then throwing them in a stormy sea.)」。

では、根本的な対策とはどのようなものなのでしょうか。

ブレグマン氏は「ベーシックインカム」の導入を提唱します。

全ての人に、最低限の生活が出来るだけのお金を配り、貧困で悩まなくてもよいようにすること。

このベーシックインカムの導入については、過去、世界中の様々な地域で実験が行われ、全ての実験で良好な結果が出ています。

「子どもたちの学校での成績は大幅に向上しました。入院する人の数は8.5%も減りました。家庭内暴力は減り、精神的な問題を訴える人も減りました。住民は仕事を辞めたりもしませんでした(The school performance of kids improved substantially. The hospitalization rate decreased by as much as 8.5 percent. Domestic violence incidents were down, as were mental health complaints. And people didn’t quit their jobs.)」

ベーシックインカムの導入で、人々の生活は劇的に改善されたのです。

財源はどこから?

ベーシックインカムが有効なのは分かった。でも、そんなお金、どこから捻出するんだ?

アメリカを例に考えてみます。

全てのアメリカ人が貧困から抜け出すために必要なお金は、「アメリカの軍事費の4分の1、GDP1%に当たる金額(a quarter of US military spending, one percent of GDP)」なのだそうです(最善の予測)。

大した金額ではありませんよね。

世界を変えるために必要なこと

ブレグマン氏は、こう語ります。

「私たち誰もが、世界観を改めねばなりません。貧困とは、人格の欠如ではありません。貧困とは、金銭の欠乏なのです(we all need to change our worldview, because poverty is not a lack of character. Poverty is a lack of cash.)」

全ての人々が考え方を根本から変えること。

ベーシックインカムが有効であることに関して、「研究結果も証拠も揃っていますし、実行手段も明らかです(We’ve got the research, we’ve got the evidence and we’ve got the means.)」

「私が信じる未来では、貧困と無縁の生活が特権ではなく、誰にとっても当然なのです(I believe in a future where an existence without poverty is not a privilege but a right we all deserve.)」

世界を根本から変えること。

それは非常に難しいことです。

ですが、既にその有効性も、実行手段も明らかになっています。

あとは実行するだけです。

今後、機械やAIが人間の仕事を奪っていくと言われる中、世界を根本から変える必要があるのではないでしょうか?

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